土蔵継承

土蔵は本来、家財道具を保護・収納する金庫もしくは倉庫のような建物ですが、土蔵の中でも”座敷蔵”と呼ばれる座敷から坪庭を眺めたとき目に映る配置の蔵は成功の証として座敷とともにその家の格式や財力が顕著に表れている建築物だといえます。

その上、土蔵は防火・盗難防止のため、様々な工夫の末に確立された特殊な構造、すなわち知恵と技術を凝縮した造りとなっています。
土蔵はその性格・構造上、必要とされることが減少し、現代建築では殆どと言っていいほど、本来の土蔵は新築されることがなくなりました。
時代の変化といってしまえばそれまでですが、需要が無くなれば必然的に技術も消えてしまうのです。

宇陀松山に残り今なお受け継がれていく土蔵

町家が建築された時代の生活は、どのようなものだったか今では想像するしかありませんが、昔の人々はその財力の表れとして”家”を重要視していたと思われます。

町家建築の場合、表通りに母家、坪庭、別屋敷、土蔵という基本的な構成があります。

そして町家の一番高級な空間”座敷”を通りに近い母家前面ではなく奥に設ける傾向があります。

“屋敷”は客間として使用されることが多いため、その家の一番高級な空間としての演出も考えられていたようです。

限られた敷地内で居心地がよく、他社に自慢できる空間を作り出す要素として、
  • ・ 敷地中央に坪庭を設けることにより、人工物である建築物の中で自然を再現
  • ・ 屋内の光量および通気性を確保し、それぞれの建物の使用目的に応じた機能性も独立
  • ・ 客に自慢できる(家の格式、財力を感じることができる)座敷からの景観

大まかに述べると上記のようになりますが、特に三番目の”家の格式、財力を感じることができる”重要な要素として土蔵の存在があります。

土蔵は本来、家財道具を保護・収納する金庫もしくは倉庫のような建物ですが、 土蔵の中でも”座敷蔵”と呼ばれる座敷から坪庭を眺めたとき目に映る配置の蔵は 成功の証として座敷とともにその家の格式や財力が顕著に表れている建築物だといえます。

その上、土蔵は防火・盗難防止のため、様々な工夫の末に確立された特殊な構造、 すなわち知恵と技術を凝縮した造りとなっています。

土蔵はその性格・構造上、必要とされることが減少し、現代建築では殆どと言っていいほど、本来の土蔵は新築されることがなくなりました。時代の変化といってしまえばそれまでですが、需要が無くなれば必然的に技術も消えてしまうのです。

老朽化した母家が解体されても屋敷跡に土蔵がぽつんと残されている光景をよく見かけます。母家は解体しても土蔵の解体には抵抗を覚えるでしょう。

“日本人の心の中には土蔵という建築物は特別な存在感がある”ということだといえます。 幸いなことに宇陀松山重伝建地区には他に誇れる技術レベルの高い土蔵が多数現存し、 まだまだ現役で暮らしの中でその役割を果たしています。

大和平野方面との違い

宇陀松山重伝建地区に残る土蔵はその大多数が本蔵(貴重品などの保管庫)造りでかつて栄えた商家町の繁栄を色濃く残している。

大和平野方面は農業主体であったため長屋蔵(生活用具、米や味噌などの備蓄に使われる実用本位の倉庫)が多い。

外観的特徴
扉前口(蔵の出入り口)に装飾性の高い観音開きの塗り込め土扉があること。
特に木瓜型の縁取り装飾に”化粧紙”が施されている。
(連続して連なる菱形に和紙を切り抜いたもの)
引き扉の場合、腰壁になまこ壁等の装飾があること。
しかし現状では、人口の減少や生活習慣の変化、住民の高齢化、経済状況などにより 建築当初から一度も修復されずに朽ちていく土蔵が少なくありません。
誰しも生活空間である母家の管理を優先するのは当たり前ですし、高級な建築物ほど改修工事にあたっては費用が高額になってしまうからです。では、そのままでいいのか?
といえばそれはそれで大変なリスクが今後発生しかねません。
問題点
  • ・土蔵は土塗り込め構造のため、簡単に解体できない。
  • ・母家の場合、母家の奥に位置するため、解体できたとしても搬出ができない。
  • ・軒裏などの塗り込め土が雨水などの浸食により落下する危険性。
  • ・土蔵建築などの携わる職人の減少=技術の衰退
簡単に思いつくだけでも上記のようなことが現実に起こっています。 全国的に見ても、朽ち果て解体するしかないという選択肢を選ばざるを得ない物件も存在しますが、多数はまだ改修保存できる状態にあると思われますし、土蔵は壁構造がゆえに、よほどの軟弱地盤に建っていない限り、自重で倒れる事はまず無いでしょう。 屋根、外壁と地面からの湿気対策を講じれば現状維持できる建築物です。

土蔵再生

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