代表挨拶

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左官職人 宮奥淳司

ご挨拶

「左官」土などを水で練り上げた素材を用いて建物の壁を作ると言う
一千年以上もの長きに渡り受け継がれてきた技術は、
建物の様式の変化・施工における時間的短縮・合理化を求められる現代、
伝統的な木造建築の減少と共に需要が減り、
素材・職人の確保が大変厳しい状況となってしまいました。
しかし、環境問題が大きく取り上げられるようになった今、
左官の仕事は自然の循環に沿った不変の技術として見直されつつあります。

国の始まりの地 古都奈良で培ってきた伝統的な技術・施工の記録。
このホームページが次世代に繋がるきっかけになれば幸いです。

左官職人 宮奥淳司

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職人になったきっかけ

父親が左官職人だったので、小さな頃から左官の仕事を間近に見ていました。
小学1.2年生の作文には「お父さんみたいになりたい」と書いていたみたいです。

私の学生時代にはホワイトカラー(サラリーマン)を目指して…という風潮があったので、
その流れに影響され、サラリーマンとして働いていました。
しかし、社会の厳しさ・自分の中の理想と現実のギャップに苦しみ、
転職を考えるようになりました。

「働かざる者 食うべからず」と言う母親のもと、
家業の左官工事を行なっていた父親の手伝いから始まりました。

稀有な職人としての想い

災害が多いこの時代で、電気のインフラが止まった時に調理に困ると思います。
また同時に暖をとって…と考えますよね。
人が生きていく上で「火」は、なくてはならない絶対的なエネルギーなのです。

「火」は表裏一体で存在しており、
有難いものであり、向き合い方を間違えると恐ろしいものです。
危険なものだから使わないでおこう、という考えは違うと思います。
生きる上で、火と向き合うことは捨てられないものです。

火は有難いものでもあり、恐ろしくもある。
私たちは、畏敬の念を忘れてはならないのです。

後世への伝承

現在、伝統的な左官の仕事は恵まれない状況下にあります。
技術力を高めたいが、仕事は激減。
職人の経験不足で技術を研ぎ澄ますチャンスがない時代です。

そういう部分では、若い職人さんに
自分たちがもっているスキルを伝えたいと思っています。
視点・思考をはじめ、仕事に対する向き合い方などの精神的なことも。
原材料が入手しにくい中、手の届く範囲の材料の性質を見て、
どう組み合わせるかという技術もこの仕事の一つです。

昔は、技術を盗まれたくないが故に自分の技を秘密にする時代でしたが、
脈々と受け継がれる伝統技術を消滅させないためにも、
ノウハウを望む人たちにはしっかりと伝えてゆかねばと。
そして、その人がまた次の人に伝えて…と次世代に繋がればと思います。